認知行動療法センター

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過敏性腸症候群(IBS)に対する認知行動療法

過敏性腸症候群(IBS)に対する認知行動療法

認知行動療法センターでは、Craskeら (2011)によって開発された、過敏性腸症候群に対する内部感覚曝露を用いた認知行動療法(CBT-IE)の臨床研究の準備を進めております。

ここでは、CBT-IEについて簡単にご紹介させていただきます。

過敏性腸症候群(Irritable bowel syndrome; IBS)について

IBSとは、腹痛や腹部不快感を主な症状とし、下痢や便秘といった便通異常を伴う疾患です。

IBSの原因は通常の検査で検出されるような器質的異常によるものではなく、不安やストレスといった心理社会的な要因が関与している部分も大きいと考えられています。

IBSの診断基準として現在最もよく用いられているRome III診断基準では、IBSは便通異常の種類によって、下痢型・便秘型・混合型に分けられています。

CBT-IEとは?

認知行動療法の中でも、特にIBSを対象とした治療法です。

IBS症状に影響を与える心理社会的な要因としては、腹部症状への不安感が大きな役割を果たしていると考えられており、そのような不安を標的として治療を行います。

誰が対象なのでしょうか?

我が国におけるIBSの治療ガイドライン(2014)では、通常の薬物治療で十分な改善が得られない人に対して認知行動療法(CBT)が推奨されています。

また、治療にあたってはIBSと類似した症状を示す、その他の消化器疾患を除外しておくことが重要です。例えば次のような症状がある場合は内視鏡や血液検査など身体的な検査を行うことが特に推奨されます。

 

注意すべき症状


便に血が混じることがある

ダイエットをしているわけでもなく体重が減ってきた

50歳を過ぎてからお腹の症状や便通の異常が始まった

夜間にも症状があり、眠りが妨げられることがある


 

なお、CBT-IEではRome III診断基準によって診断される下痢型・便秘型・混合型・分類不能型のIBSを治療対象としています。

なにをするのでしょうか?

治療の枠組み

一回50分程度の面接(セッション)を毎週、計10回実施します。セッションは専門の治療者と1対1で行われます。治療の中では、毎回のセッションで学んだことを実際の生活の中で練習し、身につけていくためのホームワークが用意されます。実のところ、治療の中で最も重要なのはこのホームワークです。CBT-IEでは、IBSに悩む方が自分でIBS症状に立ち向かい、克服するための方法を学びます。治療の成功は、いかに意欲的に取り組めるかにかかっています。

導入:IBSを理解する

治療は、IBS症状がどのような仕組みで起こっているかを理解するところから始まります。その中で、私たちの心を「認知」「感情」「身体」「行動」という4つの側面から整理することを学びます。この4つの側面からIBSを整理することで、自分のIBS症状がどのようにして生じ、悪化しているかを把握する練習をします。

注意トレーニング

お腹の調子を気にしていると、腹部に注意が集中します。そうすると、普段なら気づかないような些細な感覚にも鋭敏になり、違和感につながりやすくなります。そこで、お腹に注意をとらわれることなく、自分自身で注意をコントロールする方法を練習します。

認知再構成

IBSに悩む方は、腹部症状を心配するあまり、物事を悪い方へ悪い方へと考えてしまうことがあります。もちろん悪いことが起こる可能性もありますが、過度に悪く見積もるのではなく、客観的に事態をとらえることができるよう、見方を検討していきます。

現実曝露

IBS症状に対する不安が強まると、そうした症状を引き起こすような状況や活動を避ける(回避する)ようになることがあります。回避すると一見楽になるように見えますが、実のところそれがかえって自分を苦しめることにつながっている場合があります。こうした関係性を理解し、IBSに対する不安に耐える力を身につける練習を行っていきます。

身体感覚曝露

IBS症状に悩む方は、特にお腹など身体の感覚に対する不安感が強くなることがあります。身体感覚に対する不安感は自律神経系の反応を通して実際に身体感覚を強め、それによってさらに不安感が強まるという悪循環が生じます。こうした関係を理解するとともに、身体感覚やそれに対する不安感に耐えていく力を身につける練習を行います。

終結:達成の振り返りと再発予防

治療で学んだことや達成したことを振り返ります。また、この先予想される大変な状況に対してどのように対処していくかを考え、治療を終えます。

 

参考となる論文

Craske, M. G., Wolitzky-Taylor, K. B., Labus, J., Wu, S., Frese, M., Mayer, E. A., & Naliboff, B. D. (2011). A cognitive-behavioral treatment for irritable bowel syndrome using interoceptive exposure to visceral sensations. Behav Res Ther, 49(6-7), 413-421.

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