主なプロジェクト

PTSDに対する認知処理療法
2022-12-28 研究開発部

PTSDに対する認知処理療法

私たちの取り組み

これまで20年ほどかけて、日本で認知処理療法(CPT)を活用する根拠となる研究-日本のPTSD患者様にCPTを試みていただき、安全性や効果を確かめる研究―を進めてきました。現在、そして今後は、その適用範囲を確かめて広げるための試みや、臨床現場で認知処理療法を活用する基盤づくりに取り組んでまいります。

CPTを広める取り組み
CPT啓発サイト:「知識は、ちから。」 心に傷を負った経験から、立ち直り、歩みを進めるための情報サイト https://cpt.ncnp.go.jp/

CBTセンターで取り組んできたPTSDに対する認知処理療法(CPT)の科学的な検証をもとに、PTSDや関連症状で苦しまれている方々に、CPTを少しでも知っていただき、活用していただけたらという願いを込めて作成したサイトです。CPTに係る情報のほか、トラウマやPTSD、治療や役立つ社会資源等を紹介しています。

心的外傷後ストレス症(Posttraumatic Stress Disorder; PTSD)とは?

生命の危機にさらされるなど、非常に深刻な出来事を経験した後に発症する可能性がある病気です。PTSDの症状には、次のような4つのタイプがあります。これらの症状が1か月以上続き、生活に支障をきたしている場合に、「PTSD」と診断されます。
侵入症状
トラウマとなる出来事の記憶や体験が、自分の意思とは関係なく、よみがえってきます。「再体験症状」とも呼ばれます。
回避症状
トラウマとなる出来事を思い出すことを避けたり、思い出させるものを避けたりするようになります。
認知と気分の陰性変化
トラウマとなる出来事を経験する前よりも、否定的な考えや感情を持つようになります。
覚醒度と反応性の著しい変化
神経がたかぶったり、過敏になったりします。「過覚醒」とも呼ばれます。

症状は、トラウマとなる出来事の直後にあらわれることが多いですが、数ヶ月から数年経ってから現れることもあります。何年にもわたって症状があらわれたり消えたりすることもあります。

認知処理療法(Cognitive Processing Therapy; CPT)

CPTは、PTSDの症状や、それに伴って生じる抑うつ状態や強い罪悪感に対して効果的な心理療法です。毎週、12回の個人セッション(50分)か、集団セッション(90分)で実施します。
これまで、性暴力被害者、子どもの頃からの虐待、戦争体験などによるPTSDを対象に、その有効性が報告されてきました。その有効性は、米国、オーストラリア、ドイツ、コンゴなど、世界の多くの地域で確認されています。
CPTはアメリカのリーシック博士、マンソン博士、チャード博士という、3人の女性の臨床心理学者によって開発されました。

 

Resick博士                   Monson博士                     Chard博士

CPTの特徴

1 PTSDや、こころの仕組みを理解する

PTSDとは何か、どうしてつらい症状が維持されてしまうかを学びます。
こころの仕組み(思考と感情のつながり)を学びます。

2 見つめる力をつける

状況をどう解釈するかによって、どう感じるか(感情)が変わります。
自分のこころの動きを観察する練習をします。

3 トラウマ体験を整理する

トラウマティックな出来事がなぜ起こったのか、その出来事を体験したことで世界や自分に対する見方がどのように変わったのかをふり返ります。
その中で、自然な感情を感じるとともに、回復を妨げている考え(スタックポイント)を探ります。

4 考え直す力をつける

治療者との対話や、ワークシートへの取り組みを通して、考え直しの練習を行います。
トラウマ体験がなぜ起こったか、原因はどこにあるかを見直しながら、事実に即した/多面的な見方を身につけます。

5 5つのテーマに取り組む

トラウマ体験によって影響を受けやすいテーマである、「安全」「信頼」「力とコントロール」「価値」「親密さ」について、自分の考え方を見直し、トラウマ体験を乗り越えて生きる生活の指針を作っていきます。

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