夫婦のコミュニケーションが上手くいかないなあ、と思うことはありませんか。
もしかしたら、ちょっとしたコツで少し状況が変わることがあるかもしれません。今日は精神科診療の現場から、コミュニケーションのコツをお伝えしたいと思います。まずは、「相手を押せば、押し返されるか、逃げられる」ということについて説明します。
人間は、自分が攻撃されたと思うと、攻撃し返すか、逃げるかの反応を取ることが多いです。子どもの頃、友達とケンカして叩かれたら、叩き返すか、逃げるかしましたよね。コミュニケーションでも同じで、相手の言葉で自分が押された(攻撃された)と思うと、押し返す(攻撃する)か、逃げるかするのが人間の自然な反応です。コミュニケーションで“逃げる”場合、実際にその場を立ち去るだけでなく、話題を変えたり、無意識に他のことを考え始めたりすることもあります。以下には、押し返す例をあげます。
例:
妻)ねえ、今日トイレの掃除してくれるって言ってたけど、まだしてないじゃない。
夫)いや、今日は忙しかったんだよ。そんな言い方しなくてもいいじゃないか。
妻)はあ?やるって約束したのにやってない方が悪いんじゃない。
夫)だから忙しかったんだって。君はいつもそうやって云々・・・。
押されたら押し返したくなるので、どうしてもお互いに押し合ってしまうコミュニケーションになりやすいです。ですが、こういうコミュニケーションが続くと、お互いに辛くなってしまって、苦しい悪循環に嵌ってしまうかもしれません。「相手を押せば、押し返されるか、逃げられる」の原則、イメージが湧きましたでしょうか。じゃあどうするのか、ということを次にお話します。
(文:中嶋愛一郎)