赤ちゃんが生まれると、愛おしくなり、「我が子を守りたい」という気持ちが強く湧きます。このように、お母さんが自分の子どもに抱く気持ちのことを、お母さんから赤ちゃんへの「ボンディング」と呼びます。ボンディングはお母さんと赤ちゃんとの良好な関係になくてはならないものです。
しかし、何らかの要因で赤ちゃんに愛情や関心などが湧かない場合があります。この状態のことを「ボンディング障害」と呼び、診断・治療・支援のあり方について検討が行われています。現在、産後の家庭訪問で話を伺ったり、病院で訪問看護を検討したり、一緒にその対処法を考える仕組みが広がりつつあります。さらに、お母さんと赤ちゃんとが触れ合う時間を設けるカンガルーケアや、親子の様子を動画に撮影して専門スタッフがフィードバックするガイダンスの有効性が報告され始め、治療法も明らかになりつつあります。もし、赤ちゃんがかわいいと思えないことがあっても不思議ではないこと、そのことについて一緒に考えていく場所があることを忘れないでください。
(文:久保田智香)