新型出生前診断で陽性となったら、羊水検査などの確定検査を受けることとなります。羊水検査は通常妊娠15~16週で行われ、結果が出るまでに2~3週間かかります。障害を抱えた子どもを育てていくのか、陽性ではあるが奇跡を信じるか、産まない選択をするのか。
もし人口中絶を選択する場合は22週未満までですので、短い期間で決断を迫られることになります。医学的な情報、育児に関する情報が足りなければ福祉の情報など、子どもにかかわる皆が繰り返し十分に話し合っていくことが必要になります。そのためにも遺伝カウンセリングを受けることが大前提となります。これは厳しい現実と向き合わなければならない、とても苦しい過程であるといえます。実際には、過去5年間で陽性と判定された1038人のうち729人が人口中絶を選択しています。
苦しい決断をした方の中には、“安心”が欲しいという軽い気持ちで受けなければよかった、という声もあり、だからこそ検査を受けなかった、という方もいます。産む決断をしたとしても産むまでが不安ばかりで赤ちゃんに申し訳なかったと言っていた方もいました。
検査を受ける前も、受けた後も、そして決断した後も、お母さんが孤独にならないように、まわりに助けを求めながらじっくり考えていってほしいと思います。
(文:松田陽子)