「こころが動く瞬間」と言われて、ピンとくるでしょうか。
たとえば、
映画を見ていて、「じーん」として涙があふれちゃった、とか、
プレゼントの箱を開けるとき、すっごく「ワクワク」した、とか、
思わぬひと言に、頭に「かーっ」と血がのぼった、とか、運転中に、目の前に小さな子が飛び出してきて「ドキッ」とした、とか。
こころが動く、とは、感情が大きく振れた瞬間、と言ってもいいかもしれません。心理学的には、感情は、「何かいつもと違うことが起こっていますよ!何か行動したほうがいいですよ!」と自分に対して知らせてくれるアラームの働きがある、とされています。
自分の今の感情や、感情が大きく動いた瞬間に敏感になると、感情のアラームが何を伝えようとしてくれているのか、どんなことが自分のストレスになっているのか、その傾向をつかむことができます。
たとえば、「いつも不安」というあなたは、どんなことを考えがちですか?
人が不安を感じるときはたいてい、〈現在〉のことではなく、ちょっと先あるいはうんと先の〈将来〉のことを考えがちで、「あれはどうしたらいいのだろう」「はたしてうまくいくだろうか」「また失敗したらどうしよう」と考えていることが多いかもしれません。
あるいは、「悲しみ」を深く感じているあなたは、「不安」とは逆に、〈過去〉のことに思いが行きがちで、「どうしてあんなことをしてしまったのだろう」「たいせつなものを失ってしまった」と考えている時間が多いかもしれません。
感情のアラームを冷静にキャッチできれば、その感情が生まれる理由とも言える「考え」が頭の中に浮かんでいることに気づくことができます。
「こうあるべき」だというルールを自分や他人に強く求めて、「なんで思い通りにならないんだ」とか「理不尽だ」と考える傾向があると、「怒り」を感じることが多いかもしれません。
このように、感情は私たちにとってなくてはならないアラームですが、そのアラームがけたたましかったり、いつまでも鳴り止まなかったり、頻繁に鳴ってしまう場合には注意が必要です。
喜怒哀楽に注目して、「私って、今、怒ってる」「私、今、悲しい」「私、今、不安なんだ」と、感情の変化に対して敏感なセンサーで、冷静にキャッチできるようになるといいですね。
(文:蟹江絢子)